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日本のロボット研究の歩みHistory of Robotics Research and Development of Japan2009Integration, Intelligence, etc.〈インテグレーション・知能ほか〉モーションコピーシステム


桂 誠一郎慶應義塾大学

この論文は、ロボット研究開発アーカイブ「日本のロボット研究開発の歩み」掲載論文です。

人間の感覚情報のうち、視覚・聴覚情報の保存・再生は携帯電話・テレビ・CDやDVDなどの通信・放送機器などで広く実用化されています。しかしながら触覚・力覚情報については、五感の中で唯一、双方向性を有する感覚情報であるため、情報の保存・再生が非常に困難でした。「モーションコピーシステム」は、モータ・アクチュエータを利用することで、双方向性を持つ触覚・力覚情報を抽出・再現することを可能にしています。

慶應義塾大学桂誠一郎研究室では、書道の達人の動作情報から細やかな力加減を抽出・保存し、ロボットにより忠実に再現することに世界で初めて成功しました。書道家の協力の下で「モーションコピーシステム」による書道動作の保存・再現の検証を行い、書かれた文字を高い精度で再現することが可能であることを明らかにしました。「モーションコピーシステム」を使用することで、どのような文字でも動作情報を記録し、再現が可能です。

本技術により、インターネット等を利用したスキルのトレーニングなどに応用することが可能です。特に、力加減は他者に伝えることが困難だったために、熟練技能の習得には長時間の修業が必要でした。「モーションコピーシステム」のスキルトレーニングへの応用により、これまで「勘と経験」に頼っていた熟練技能の伝承を効率良く達成できるものと期待されます。