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日本のロボット研究の歩みHistory of Robotics Research and Development of Japan2011Integration, Intelligence, etc.〈インテグレーション・知能ほか〉人間中心型情報投影ロボット


李 周浩立命館大学

この論文は、ロボット研究開発アーカイブ「日本のロボット研究開発の歩み」掲載論文です。

人は生活において情報を得るため,ポスターや掲示板に代表されるような決定事項が掲示されたものを確認する場合が多い.殆どの情報提示形態が人間から情報に対してアプローチしていくというという“受動的な情報提示(Passive Information Display)”でる.しかし,この形態は①情報更新のための時間や手間のコスト②ユーザの所望する情報と合致する保障の欠如③ユーザ自ら情報を探す必要性などの問題点があるため“Ubiquitous Display(以下,UD)”という移動投影ロボットを研究開発した.UDは“能動的な情報提示(Active Information Display)”を導入し,人間中心型情報提示システムを実現しており,ロボットが環境中で人の注視方向に映像を投影するなどユーザフレンドリな情報提示を達成した.

プロジェクタをもって情報を投影するロボットとして他にも,2005年に東大の浅間らが開発した,首振りが可能なパンチルト機構とプロジェクタを組み合わせた装置を壁や天井に固定し,その場所に訪れた人に情報を提示するロボット,2006年に移動ロボットとプロジェクタをインテグレーションした静岡大学の松丸らが提案した“次の動作を予告表示する機能をもつ移動ロボット”,NTTの町野らが提案した“遠隔コラボレーションシステムCampro-R”などがある.

2006年にUDという人間中心型情提示装置が提案され,壁や床などに矢印や場所名などを表示して人を所定の場所まで案内する研究が行われた.2007年には制御安定性と応答性を向上させた新しいハードウェアが設計・製作され,UDが停止・移動中にも任意の場所にCG情報を歪みなく投影できるようになった.2008年にはUDによる裸眼立体視手法が提案され,2009年にはプロジェクタの弱点である,本来の背景より暗い領域,すなわち,影の表現が難しいといった問題点をCOC錯視効果を用いて解決し,自然な影を表現する手法について研究が行われた.2010年以降はUDの実用化目指し,公の場で人間と共存するための行動モデルに関する研究が行われた.

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対応論文


塩谷朋之, 前川晃佑, 岩本健児, 李周浩:大型公共施設においてサービス提供を行うUbiquitous Displayのための行動モデルの構築

日本ロボット学会 第30回記念 学術講演会, 2012.

塩谷朋之, 前川晃祐, 李周浩:視覚情報支援のための自立移動投影ロボットの行動モデル

第29回日本ロボット学会学術講演会(RSJ2011), 2011.

関連論文


[1] Jeong-Eom Lee, Joo-Hyung Kim, Sang-Jun Kim, Yong-Guk Kim, Joo-Ho Lee and Gwi-Tae Park, Human and Robot Localization using Histogram of Oriented Gradients(HOG) Feature for an Active Information Display in Intelligent Space, Advanced Science Letters (ASL)(Vol.9巻), pp.99-106, 2012

[2] Jeong-Eom Lee, Jiyoung Park, Gon-Soo Kim, Joo-Ho Lee, Myoung-Hee Kim, Interactive Multi-Resolution Display Using a Projector Mounted Mobile Robot in Intelligent Space, International Journal of Advanced Robotic Systems(9巻), pp. 1-7, 2012.

[3] Tomoyuki Shiotani, Kosuke Maegawa, Kenji Iwamoto and Joo-Ho Lee, Building a Behavior Model for the Ubiquitous Display to be used in a large-scale public facility, 9th International Conference on Ubiquitous Robots and Ambient Intelligence(URAI2012), 2012.

[4] 大型公共施設においてサービス提供を行うUbiquitous Displayのための行動モデルの構築
塩谷朋之, 前川晃佑, 岩本健児, 李周浩, 日本ロボット学会 第30回記念 学術講演会, 2012.

[5] Tomoyuki Shiotani, Joo-Ho Lee, A Behavior Model of Autonomous Mobile Projection Robot for the Visual Information, International Conference on Ubiquitous Robots and Ambient Intelligence (URAI2011), 2011.

[6] 塩谷朋之, 前川晃祐, 李周浩, 視覚情報支援のための自立移動投影ロボットの行動モデル, 第29回日本ロボット学会学術講演会(RSJ2011), 2011.

[7] 塩谷朋之, 高橋淳子, 高橋亮, 李周浩, 移動投影ロボットを用いた人に効果的な視覚情報投影の検証, 第11回計測自動制御学会システムインテグレーション部門講演会(SI2010), 21010.

[8] 高橋亮, 李周浩, 移動投影ロボットの振る舞い行動モデル 第2報障害物回避と情報投影を考慮した人物追従, 第 28 回日本ロボット学会学術講演会, 2010.

[9] 宮下智至, 高橋亮, 李周浩, インテリジェント環境と連携した視覚情報支援のための移動投影ロボットの振る舞いモデル, 日本機械学会ロボティクス・メカトロニクス講演会, 2010.

[10] Joo-Ho Lee, Satoshi Miyashita and Kouseke Azuma, Making Environments as Canvases -Ubiquitous Display, from 2D to 3D, 18th IEEE International Symposium on Robot and Human Ineractive Communication(RO-MAN), 2009.

[11] Jeong-Eom Lee, Satoshi Miyashita, Kousuke Azuma, Joo-Ho Lee, Gwi-Tae Park, Anamorphosis Projection by Ubiquitous Display in Intelligent Space, Human Computer Interaction, 2009.

[12] 宮下智至, 東晃佑, 高橋亮, 李周浩, 李延香奄, ユビキタスディスプレイを用いた裸眼立体アニメーション, 第9回計測自動制御学会システムインテグレーション部門講演会, 2008.

[13] Satoshi Miyashita, Joo-Ho Lee, UBIQUITOUS DISPLAY FOR HUMAN CENTERED INTERFACE-Fixed Shape Projection and Parameter Optimization-, 17th IFAC World Congress, 2008.

[14] 冨板紀宏, 宮下智至, 李周浩, ユビキタスディスプレイUD-1を用いたアナモルフォーズによる裸眼立体視の実現, 日本機械学会ロボティクス・メカトロニクス講演会, 2008.

[15] 宮下智至, 李周浩, 環境非固定型パンチルトプロジェクタの姿勢変化に起因する歪みの補正手法, 第8回計測自動制御学会システムインテグレーション部門講演会, 2007.

[16] Joo-Ho Lee, Human Centered Ubiquitous Display in Intelligent Space, The 33rd Annual Conference of the IEEE Industrial Electronics Society(IECON), 2007.

[17] 李周浩, 移動投影装置を用いた強化現実システムの開発, 日本機械学会ロボティクス・メカトロニクス講演会, 2007.

[18] 原田哲也, 映像投影装置を持つ移動ロボットによる避難誘導システム, 第7回計測自動制御学会システムインテグレーション部門講演会, 2006.