日本のロボット研究の歩みHistory of Robotics Research and Development of Japan1982Locomotion〈ロコモーション〉竹馬型二足歩行ロボットの動的歩行
下山 勲 | 東京大学 |
三浦 宏文 | 東京大学 |
この論文は、ロボット研究開発アーカイブ「日本のロボット研究開発の歩み」掲載論文です。
従来の2足歩行ロボットは,重心を足裏上方に置き,静的な安定性を満足しながら歩行するものであった。1970年代後半から,コンピュータが制御の実験に組み込めるようになって,2足歩行の動力学を制御系にいれることもできるようになった。このため,重心位置を必ずしも足裏上方に置く必要のない,ヒトや動物が行っているような,いわゆる,動歩行の実験が可能となった。動歩行は,慣性力まで含めた動的安定性を保証するもので,走行に代表されるような,ダイナミックな動きが可能となる。
本研究および論文では,足裏に面積を持たず,足が地面と点で接触する,竹馬型の3次元的歩行ロボットを試作し,動歩行について研究した。結論として,遊脚期つまり片足支持期の系は可制御ではあるが,制御しにくい系であり,この期間内での安定化についてはあきらめる。しかしながら,支持脚交換期があるので,遊脚の着地点を適切に制御することによって,支持脚の交換を繰り返しながら,安定性を保とうとするものである。