日本のロボット研究の歩みHistory of Robotics Research and Development of Japan1981Manipulation〈マニピュレーション〉SCARA ロボットの開発
牧野 洋 | 山梨大学工学部 |
村田 誠 | 山梨大学工学部 |
古屋 信幸 | 山梨大学工学部 |
この論文は、ロボット研究開発アーカイブ「日本のロボット研究開発の歩み」掲載論文です。
SCARA(Selective Compliance Assembly Robot Arm)は,山梨大学工学部の牧野 研究室において開発されたロボットである。このロボットの開発は1978年4月に設置さ れた「SCARAロボット研究会」という名前の産学協同研究コンソーシアムの援助のも とに行われ,3ヶ年の間に一応の水準のロボットを完成することができた。その後,開発 の主体は研究会に参加した各社に移り,日東精工(株)や三協精機(株)などがそれぞれ 自社製の工業用市販モデルを発表し,スカラ型あるいは水平多関節型と呼ばれる一つのフ ァミリーを形成するに至った。
SCARAは日本が独自に開発をした実用性の高いロボットとして定評を得ており,こ のDVDの作られている2001年までに,全世界における累積生産台数は約10万台に達 し,この数字は全世界のロボット人口の約10%を超えると見なされる。メーカーも日本 のみならず,アメリカやドイツにも及んでいる。
大学における研究は,その後,はめあい,とくに選択的コンプライアンスの研究,制御, とくにカム曲線を用いた運動制御の研究,軌跡制御の研究などに関して行われ,以下の関 連論文はこれらを紹介している。
また,これから派生した研究として,球面SCARAロボットの研究,多自由度測定ロ ボットの研究,パラレルロボットの研究などがあるが,以下の論文集からは省かせて頂い た。
SCARAの開発はシーズ研究ではなく,ニーズ研究として行われたところに一つの特 徴がある。そのため,多数の解説記事や技術論文が出ており,代表論文もその一つに分類 されるものとなっている。