日本のロボット研究の歩みHistory of Robotics Research and Development of Japan1992Manipulation〈マニピュレーション〉モデルベースト・バイラテラル遠隔操作
神徳 徹雄 | 機械技術研究所 |
谷江 和雄 | 機械技術研究所 |
横井 一仁 | 機械技術研究所 |
藤川 昭雄 | 機械技術研究所 |
この論文は、ロボット研究開発アーカイブ「日本のロボット研究開発の歩み」掲載論文です。
モデル介在型の遠隔操作システムにおいて,モデル空間の中で発生する干渉にともなう拘束力を操作者にフィードバックすることでバイラテラルな操作感を提供した先駆的な研究のひとつ.宇宙ロボットなどの通信時間遅れが問題となる遠隔操作システムにおいて,予測ディスプレイを用いた作業教示手法が導入されていたが,これらはコンピュータグラフィクス技術によるロボットシミュレータであり,その力覚フィードバックの欠如により接触を伴う作業の操作性を低下させていた.そこで,操作者側に設置された作業環境のモデルを視覚的なグラフィックディスプレイ表示に用いるだけでなく,作業教示中に発生する環境からの拘束力をシミュレートする機能をも加えた遠隔操作システムを提案し,仮想的なモデル空間とのインタラクションの検証実験や,時間遅れのある遠隔操作システムに適用した検証実験を行った研究である.
本システムではモデル空間として簡易な点物体モデルを扱っていたが,さらに一般的な多面体モデルに発展させた[3].近年では,計算機の処理能力の向上もあり,このようなモデル空間を使った操作感覚の提示技術はハプティックディスプレイ技術として活発に研究されている.
1993年 計測自動制御学会論文賞受賞