日本のロボット研究の歩みHistory of Robotics Research and Development of Japan1999Manipulation〈マニピュレーション〉構造変化を伴うリンク系の動力学計算法とヒューマンフィギュアの運動計算
中村 仁彦 | 東京大学 |
山根 克 | 東京大学 |
永嶋 史朗 | (株)富士通研究所 |
この論文は、ロボット研究開発アーカイブ「日本のロボット研究開発の歩み」掲載論文です。
本論文では,ヒューマンフィギュアの動力学シミュレーションを高速に行うことを目的として,複雑な閉リンク機構の順動力学計算法とリンク構造変化を自動的に扱うための構造表現法について述べている.
歩行などヒューマンフィギュアの運動では,環境との衝突・接触により複雑な閉リンク機構が現れ,しかもそれが時間とともに変化するため,どのようなリンク構造が現れるかを事前に予測してモデルを用意しておくのは現実的ではない.本研究では,任意のリンク構造に対応可能な動力学計算法と,リンク構造の内部表現を実際の構造にあわせて動的に変化させる手法を組み合わせることで,開リンク機構と閉リンク機構の切り替えをシームレスに扱うことのできる動力学シミュレータを開発した.
本研究の成果はその後衝突・接触が扱えるように拡張され[1],ヒューマノイドのシミュレータに応用されている[2].
また,さらなる高速化を目指して計算量がリンク数に比例する計算法の開発[3],並列動力学計算法の開発[4]が行われている.
第14回(2000年)日本ロボット学会論文賞受賞