SEARCH
MENU

みのつぶ短信第5回「はい,にわかラグビーファンです!」


本エントリーは会長在任中に投稿された記事です。

 はい,にわかラグビーファンです.TVドラマの影響がもろだが,なんとその原作とも思しき映画「インビクタス/負けざる者たち」があった.南アフリカ初の黒人大統領であるネルソン・マンデラ氏の実話である.それまで白人に支配されていた国の中枢で,白人との融和策を推し進め,その象徴として低迷していたラグビーチームを激励した.27年もの投獄生活のなかで,憎悪の繰り返しでは,解決にならないことを悟ると同時にラグビーを通じて,黒人白人とわず,国を一つにまとめあげた.当時白人が多かったチームを自身の投獄地に赴かせたり,貧民街の黒人の子どもたちにラグビーを教えさせたりして,選手たちの自覚を促すなど,なかなかの策士である.1995年自国開催のラグビーワールドカップにおいて,強敵ニュージーランドのオールブラックスとの決勝戦で見事優勝する.まさにドラマよりドラマチックな結末だ.なお,今年のラグビーワールドカップは日本がベスト8に進んだが,ベスト4を阻んだのも南アフリカで,優勝チームではないか!試合後は,ノーサイドで黒人も白人も一緒に称え合う姿が清々しい.メディアはチームを国別にするが,イングランド,スコットランド,ウェールズなど,すでに国単位は崩れているし,各チームは多国籍であるのも素晴らしい.国が選手を選ぶのではなく,選手が国を選べる形だ.手前味噌だが,ロボカップでも国別の表記をやめている.当初,ある国のチームが表彰台で国旗を振ったことがあった,即刻禁止にした.国と国の戦いではなく,競技を通じた一大国際共同研究プロジェクトなのだ.ロボカップ繋がりで恐縮だが,人間と一緒に競技できるヒューマノイドロボットの設計を考えた時,安全面は最優先としても,スクラム組めるパワーを秘めたヒューマノイドロボットの設計は非常に困難を極めそうだ.まさしく,ビッグトライである.

日本ロボット学会
会長 浅田 稔