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みのつぶ短信第7回「深圳のTencent:中国の灰と明」


本エントリーは会長在任中に投稿された記事です。

IROS2019でマカオ滞在時,11月8日の金曜日に休暇をとり深圳のTencentを訪れました. 11月4日の月曜日夕刻開催されたIROSのWelcome Receptionで,多くの友人達と語らいながら,場内を一周しているうちに東大稲葉教授のグループに遭遇し,雑談をしている時に学生を中心とした10人くらいのグループで,金曜日に深圳に行くというので,じゃ,一緒に行こうかと半ば冗談でしたが,深圳のTencentにいくというので,ならば,Robotic X Lab and AI Labを率いているZhengyou Zhang博士のところではないかと言っていたところ,思い出しました.彼のグループが4月頭に阪大を訪れ,見学,講演してもらい,夕食のレストランへの案内など,東大稲葉研で共同研究しているTencentのChen研究員がガイドしていました.その際,IROSでマカオにいくから,その時に,Tencentによるので,事前に連絡するといいながら,忘れてしまっていたのです.Zhengyou Zhang博士とは,IROS初日火曜日のプレナリートークのあと,質問者の列の中で偶然遭遇しました.残念ながら金曜は不在で現地ではあえませんでしたが,ともかく,マカオからフェリーで約一時間半で深圳のフェリーポートに到着しました.そこからバスで約30分,路面がみえないくらいの超交通渋滞でした.その30分の殆どが,中国のダウンタウンそのものでした.超近代的な街を想定していたので,なかば驚きでした.そして,到着寸前からガラッと変わってモダンな高層建物群が天に向かって突き出している感じでした.その中でも凝ったデザインの建物がTencent本社ビル(写真)でした.2〜3年前に建って,現在も一部工事中でRobotic X Lab and AI Labが引っ越してくるとのことでした.見学ツアーはディズニーのエプコットセンターなみの設えで,ビデオや展示物,部屋から部屋への移動などエンターテイメントそのものでした.Tencentは,ソーシャル・ネットワーキング・サービス,インスタントメッセンジャー,Webホスティングサービスなどを提供し,中国全土にネットワークの影響力をもっている.巨大なストレージを抱える最新の計算機センターを郊外に建設中とのことで,まだまだ成長とまらずの勢いだ.結婚や離婚などの申請がスマホから簡単に処理手続きでき,IoTを地で行く街であるが,ダウンタウンの状態(暗ではなく灰色程度)とTencent周りの超近代的な街なみのコントラストはそのまま貧富の差に反映されているとのこと.現代中国の象徴的な街であった.夕食を終え,マカオに帰るために近代的な地下鉄に乗車したが,ポートの名前のついた駅からフェリーポートまでなんと1.3km程度離れており,フェリーの出発時刻が迫ってきており,なかば走ってフェリーポートに向かったが,その間,工場の建設現場で空気がもやっており,近代的な明るい地下鉄から灰色部分に引き戻された形だった.なんとか無事全員,マカオに戻れた.ちなみに,マカオから深圳訪問はパスポートが必要で越境や入境の表示があった.国が違うのだ.

日本ロボット学会
会長 浅田 稔