「日本のロボット研究開発の歩み」制作のねらいと編集方針
OPEN日本ロボット学会ロボット研究開発アーカイブ実行委員会
委員長 高西 淳夫
日本ロボット学会は,この度ロボット研究開発アーカイブ「日本のロボット研究開発の歩み」を制作し公開致しました.これは,西暦2002年に学会創立20周年記念行事として編纂したDVD版「日本のロボット研究の歩み」を礎として,日本の優れたロボット技術を収集して後世に残すことをねらいに,論文全文とともに動画などの閲覧や検索を多様かつ簡便にできるようにしたものです.
この「日本のロボット研究開発の歩み」に収録し,記録にとどめるのにふさわしい顕著な業績を選定するうえで基本方針を以下のように定めました.
- 技術は論文の形で公表されて、初めて社会共有の知的財産となります.したがって原則として論文の形で公表されているものを収録対象業績としました.
- ロボット技術の定義は簡単ではなく,どこまでさかのぼって業績を収集するかが難しいのですが,本アーカイブではコンピュータ制御をキーテクノロジーととらえています.この観点から,最初の知能ロボットとして,1970年に公開された電子技術総合研究所および日立中央研究所のロボットをとりあげ,それ以降の技術の流れを記録することとしました.ただし,これ以前の研究からも特に優れたものは掲載しています.
- 最新の研究・開発業績については、論文発表や世間への公表をきっかけに評価が定まったと考えられるものを逐次追加更新していく予定です.
- 旧日本ロボット学会論文賞,日本ロボット学会誌論文賞,Advanced Robotics Best Paper Award受賞論文,旧技術賞及び実用化技術賞は基本的に全て掲載しています.これは新しい業績でも,学会として公式に評価選定されたものだからです.
- アカデミアの研究成果と共に企業の研究・技術開発は製品としてロボット技術を支えており,技術の発展に対し大きく貢献しています.企業活動上の制約などから論文になっていないものもあります.そこで企業の研究開発については,論文として公表されていなくても優れたものを積極的に収録・掲載しています.
指の機能の工学的研究
- 1964
- 山下 忠
計算機で制御されるバイラテラルマニピュレータ
- 1970
- 東京大学
一対の人工の手の協調制御
- 1975
- 黒野 繁
人工指による物体把握の力学
- 1976
- 花房 秀郎浅田 春比古
マニピュレータの運動成分の一般的分解とその制御
- 1976
- 高瀬 國克
手作業のためのハンドリングシステム
- 1979
- 岡田 徳次
人工の手の運動制御に関する研究(第1報~第3報)
- 1979
- 内山 勝
SCARA ロボットの開発
- 1981
- 牧野 洋村田 誠古屋 信幸
関節形ロボットアームの冗長性の解析とその優位順位を有する作業への応用
- 1983
- 花房 秀郎吉川 恒夫中村 仁彦
マニピュラビリティの研究
- 1984
- 吉川 恒夫
ロボットアームの動的ハイブリッド制御
- 1985
- 吉川 恒夫
フレキシブルロボットアームの制御の研究
- 1985
- 福田 敏男
フレキシブル・アームのモデリングと制御
- 1986
- 坂和愛幸松野文俊
異構造マニピュレータ間におけるバイラテラルマスタスレイブ制御
- 1986
- 新井健生中野栄二
マニピュレータのパラメータ同定
- 1986
- 川崎 晴久西村 国俊
複数のロボット機構による協調的あやつりの力学
- 1986
- 中村 仁彦永井 清吉川 恒夫
パラレルマニピュレータ
- 1987
- 津坂 祐司福泉 武史井上 博允
ロボットの仮想内部モデル追従制御系-メカニカル・インピーダンス制御への応用-
- 1988
- 小菅 一弘古田 勝久横山 竜昭
凸多面錐理論に基づくマニピュレーションの運動学と静力学
- 1988
- 平井 慎一浅田 春比古得丸 英勝
フレキシブルロボットアームの可補償性
- 1988
- 姜 兆慧内山 勝
非駆動関節を有するマニピュレータの動力学的干渉による位置制御
- 1989
- 荒井 裕彦舘 暲
フレキシブルマイクロアクチュエータ
- 1989
- 鈴森 康一田中 裕久
スキルに基づくマニピュレーションシステム
- 1990
- 末広 尚士高瀬 國克
宇宙ロボットの多腕協調制御
- 1991
- 吉田 和哉倉爪 亮梅谷 陽二
モデルベースト・バイラテラル遠隔操作
- 1992
- 神徳 徹雄谷江 和雄横井 一仁藤川 昭雄
理想的な筋運動感覚を与えるマスタ・スレーブマニピュレータのバイラテラル制御
- 1994
- 横小路 泰義吉川 恒夫
パラレルワイヤ駆動を用いた超高速ロボット開発
- 1994
- 川村貞夫Choe Won木野 仁田中 訓勝田 兼
6自由度高速パラレルロボットHEXAの開発
- 1994
- 内山勝飯村憲一多羅尾進フランソワ・ピエロ外山修
多指ハンドによるパワーグラスプの力学的特性
- 1995
- 小俣 透永田 和之
触覚フィードバックを用いた多指ハンドによる未知形状物体の転がり接触を考慮した操り制御
- 1995
- 前川 仁谷江 和雄小森谷 清
非ホロノミック・マニピュレータの理論的設計と非線形制御
- 1995
- 中村 仁彦O.J. Sordalen鄭 宇眞
パルス駆動誘導電荷形静電フィルムアクチュエータ
- 1997
- 柄川 索新野 俊樹樋口 俊郎
並列処理型センサベースドマニピュレーションシステム:匠
- 1997
- 北垣 高成末広 尚士小笠原 司劉 雲輝
二本指マイクロハンド
- 1997
- 新井健生谷川民生
構造変化を伴うリンク系の動力学計算法とヒューマンフィギュアの運動計算
- 1999
- 中村 仁彦山根 克永嶋 史朗
分散制御された複数ロボットと人間との協調による物体ハンドリング
- 2000
- 平田泰久小菅一弘淺間一嘉悦早人川端邦明
バイラテラル制御による非接触マイクロマニピュレーション —レーザマイクロマニピュレータによるマイクロツール制御—
- 2002
- 新井 史人小川 昌伸福田 敏男
非ホロノミック系操作のためのヒューマンインタフェース
- 2003
- 荒井 裕彦
ロボットハンドのための負荷感応無段変速機
- 2005
- 高木 健小俣 透
数式処理によるロボット機構の自由度解析
- 2008
- 有川 敬輔
人間の直接教示動作の統計的性質に基づいた折り紙ロボットの目標軌道とセンサフィードバック則生成法
- 2008
- 田中 健太木原 康之横小路 泰義
ロッド駆動型多関節術具とこれを用いたMRI環境対応小型マスタスレーブマニピュレータ
- 2009
- 岸 宏亮藤江 正克橋爪 誠佐久間 一郎土肥 健純
低バックラッシュ立体カム機構を用いたロボットハンドの開発-軽量ロボットハンドの試作と関節機構の評価-
- 2009
- 安沢 孝太佐々木 裕之鄭 聖熹高橋 隆行
コンプライアント―パラレルメカニズムを応用した高精度・広動作域位置決め装置
- 2011
- 小塚 裕明荒田 純平奥田 憲司翁長 明範大野 元嗣佐野 明人藤本 英雄
ばね-リンク機構を用いた外殻型2自由度屈曲マニピュレータの開発
- 2012
- 荒田純平齊藤善崇藤本英雄